受かる経理履歴書の秘訣、教えます

この記事を書いた人:ヤジ キタオ(元採用担当者/経理スペシャリスト)

経理マンとして46年間務め、税理士事務所から製造業メーカーまで複数回の転職を経験。さらに、職場では20代から50代の多様な人材を同僚・部下として受け入れ、指導・育成した経験を持ち、「転職する側」と「現場で人材を受け入れ育成する側」双方の視点を知る専門家です。
経理への転職を考えている皆さん、履歴書の作成に不安はありませんか?数字を扱う専門職である経理では、履歴書にも独自のポイントが求められます。
この記事では、あなたの経験やスキルを最大限にアピールし、採用担当者の目に留まる経理 履歴書の書き方を徹底解説します。5つの秘訣を実践し、あなたのキャリアを次のステップへと進めましょう。もう履歴書で悩む必要はありません。
このブログでわかること(疑問・解決リスト)

- 疑問: 採用担当者が経理履歴書のどこを重視しているのか?
- 解決: 正確性と再現性という2つの評価軸が明確にわかります。
- 疑問: 自分の経理スキルや実績をどのように数字でアピールすれば効果的か?
- 解決: 5つの秘訣を通じて、自己PRや職務経歴書で即戦力を具体的に示すテクニックが身につきます。
- 疑問:履歴書と職務経歴書の役割分担と、経理職に特化した職務経歴書の書き方とは?
- 解決: 職務経歴書の実務フローの整理方法や、専門性の高い経験を具体的な数字でアピールする手順を習得できます。
- 疑問: 簿記などの資格や未経験から経理を目指す際の適切な書き方とは?
- 解決: 簿記資格を最大限に活かす方法や、未経験でもポテンシャルを伝える戦略を習得できます。
- 疑問: 履歴書作成時によくあるNG例や、面接へ繋げるための最終チェック項目は?
- 解決: 専門家が厳選したNG事例と、提出から面接までの成功戦略を把握できます。
採用担当者は「正確性」と「貢献意欲」しか見ていない理由


結論から申し上げると、経理職の履歴書で採用担当者が重視するのは、あなたの過去の経歴ではなく、「正確な仕事ぶり」と「自社への貢献意欲」です。
これは、経理業務が会社の財産を扱う極めて責任の重い仕事であり、わずかなミスも許されないという職種の特性に基づいています。
私の採用担当者としての経験から見ても、履歴書に誤字脱字がないか、日付や数字に矛盾がないかといった細部の正確性は、そのままあなたの業務に対する注意力や責任感を推し量る指標となります。
また、担当者はあなたの過去の経験が、自社の経理業務でどのように再現され、どのような成果をもたらすかという「貢献意欲」を非常に重視しています。

単に「経理業務に従事しました」という羅列ではなく、「この人は当社の課題を解決できる」と採用担当者が感じる具体的なストーリーが必要不可欠なのです。
【重要】経理転職を制する「職務経歴書」の戦略的作成術

経理職の転職活動において、職務経歴書は履歴書以上に専門性を示す最重要資料となります。結論、履歴書と職務経歴書は「車の両輪」として、明確に役割を分担させることが成功の鍵です。
履歴書があなたの概要(学歴・職歴の事実)を伝えるのに対し、職務経歴書はあなたの価値(どのような業務を、どのように遂行し、どのような成果を出したか)を専門用語を用いて具体的に証明する役割を担います。
ここでは、経理のプロとして採用担当者が「専門性が高い」と評価する職務経歴書の作成手順を解説します。
1. 【実務フローの提示】日次・月次・年次業務で経験を整理する
採用担当者があなたの経験を瞬時に理解できるよう、担当した経理業務を実務のフローに沿って整理して記載することが推奨されます。
この整理法は、あなたの業務の網羅性とルーティン業務の遂行能力を効果的にアピールできます。
例えば、「年次業務」では「税務申告」「監査法人対応」「開示書類作成」など、具体的な専門スキルをハイライトできます。
日次業務(仕訳入力、伝票処理、現預金管理など)から、月次・年次業務(月次決算、予算策定、年次決算など)の順に記述し、どの範囲を一人で完結できたかを明記しましょう。
2. 【定量的な成果の表現強化】数字で「貢献」を証明する
職務経歴書において、単なる業務内容の羅列は価値がありません。そこで重要になるのが、「改善を実現したか」という視点と、それを裏付ける定量的な成果です。
結論:職務経歴書の各業務で、「成果」の欄には必ず数字を入れ、「改善」に関する具体的なエピソードを盛り込みましょう。
例えば、「支払サイトの交渉により、キャッシュフローを〇%改善」や、「経費精算システムの導入サポートにより、経費申請のリードタイムを3日短縮」といった形で、改善度合いや貢献のインパクトを明確に示します。
この記載方法こそが、あなたの業務が会社の利益に繋がることを証明し、即戦力として最も強くアピールする要素となります。
3. 【特定の経験の強調】専門性で差別化を図る
経理職の市場価値を高めるためには、すべての企業が経験できるわけではない専門性の高い業務を強調することが重要です。
連結会計、IPO準備(上場準備)、監査対応(IFRS対応含む)、大規模なシステム導入(ERP)への参画経験などは、ハイレベルな知識とプロジェクト推進力を示す強力な証明になります。
また、ExcelのVBAやピボットテーブルの具体的な活用事例も、「〇〇分析の自動化」といった具体的な例文を添えて記載することで、あなたのITリテラシーを強くアピールできます。
4. 【企業規模・業種別のカスタマイズ】アピール業務の優先順位
応募先の企業が求める経理職の役割は、業種や規模によって大きく異なります。職務経歴書は、このニーズに合わせて内容をカスタマイズすることが鉄則です。
| 応募先企業の例 | 優先的にアピールすべき業務 | 理由と狙い |
| 製造業 | 原価計算、工場会計、生産管理との連携 | 利益管理への理解と専門性を示す。 |
| 上場企業 | 開示業務、J-SOX対応、監査法人対応 | コンプライアンス意識と高度なスキルを証明。 |
| ベンチャー | 経営層とのやり取り、資金調達、管理部門の立ち上げ | 事業計画への貢献とスピード感をアピール。 |
応募先企業の研究を徹底し、企業の成長フェーズや組織課題を解決できるあなたの業務経験を最優先で記述しましょう。
【秘訣1〜5】経理履歴書で「会いたい」と思わせる具体的なテクニック


採用担当者が思わず「この人に会って話を聞きたい」と感じる履歴書を作成するためには、戦略的なアピールテクニックが必要です。ここでは、あなたのキャリアを際立たせる5つの秘訣を解説します。
秘訣1:自己PRは「数字」で語る(実績のアピール方法)
経理は数字を扱う専門職ですから、あなたの業務遂行能力や貢献度を客観的に示すには、具体的な数字が最も効果的です。抽象的な表現は避け、可能な限り数値を盛り込むことを意識してください。
自己PRの冒頭で最もアピールしたい強みを端的に述べた後、具体的なエピソードの中で数字を最大限に活用します。
「〇〇の改善により、月次決算の締めを平均5営業日から3営業日に短縮した」といった表現は、あなたの実務能力と改善意識を強くアピールできます。
業務効率化やコスト削減に貢献した経験があれば、「年間約20時間の業務時間削減」や「年間約15万円のコスト削減に貢献」など、具体的なインパクトを明記しましょう。
秘訣2:職歴は「再現性」に特化する(具体的な経理業務内容)
職歴欄は、あなたの経験が応募先企業で即戦力としてどのように活かせるかを示すための最重要項目です。単なる在籍期間の羅列では、あなたの価値は伝わりません。
「月次・年次決算業務」を一貫して担当した経験や、「売掛金・買掛金管理」を通じて資金繰りの安定化に寄与した経験など、具体的かつ網羅的な業務内容を記述します。
さらに、あなたが関わった管理会計(原価計算や予実管理)の経験は、経営貢献度の高さをアピールする上で大きな強みとなります。
転職回数が多い場合は、各転職理由を「キャリアアップ」や「新しい分野への挑戦」といったポジティブな言葉で表現し、そこで得たスキルが応募先企業で活きることを強調しましょう。
秘訣3:資格は「使い道」で語る(簿記・PCスキルの効果的な記載)
簿記資格をはじめとする会計系資格は、経理職の必須パスポートですが、単に「日商簿記検定2級 取得」と書くだけでは不十分です。
その資格によって得られた知識が、実務でどのように役立つのかを具体的にイメージさせることが重要です。
例えば、簿記1級の高度な知識を「複雑な連結会計や税効果会計を自社内で処理する基盤になる」といった形で、使い道を明確に記述しましょう。
また、Excelは経理職の武器です。「VLOOKUPやピボットテーブルを用いたデータ集計」や「マクロ(VBA)による集計作業の自動化」など、具体的なスキルレベルをアピールすることで、入社後の業務効率化への期待を高めます。

私の転職経験から言っても、EXCELは大きな武器になります。私の場合、たまたま、VBAが少し理解できたので、中年からの難しい転職に成功することが出来ました。
秘訣4:未経験者は「ポテンシャル」と「熱意」を伝える戦略
経理実務経験がない未経験者が採用を勝ち取るためには、経験者との差別化を図り、「学習意欲」と「ポテンシャル」を最大限にアピールする必要があります。
直接的な経理経験の代わりに、前職で培ったポータブルスキル(正確性、論理的思考力、適応能力)を強調してください。
「前職での資料作成チェック業務で培った細部への注意力を、経理の正確性に活かす」といった形で、ポータブルスキルと経理業務を結びつけます。
簿記資格は、あなたの経理への本気度と目標達成能力を示す強力な武器です。「独学で〇ヶ月で2級を取得した」という事実を、努力と成長意欲のエピソードとして具体的に語りましょう。
秘訣5:志望動機は「未来の貢献」で締めくくるストーリー構成
志望動機は、あなたの熱意と企業への理解度を最も強くアピールできる重要な項目です。単に「御社で成長したい」という漠然とした理由では、採用担当者の心は動きません。
「過去の経験」→「そこから得たスキル」→「応募先企業への貢献」という一貫したストーリーを構築してください。
企業研究を徹底し、その企業が求める人材像や、経理部門が抱えるであろう課題(例:原価計算の精度向上、月次決算の早期化)を推測します。
そして、「私の持つ〇〇の経験が、貴社の事業成長を側面から支える」といった、未来の貢献イメージを具体的に語ることで、強い入社意欲とプロフェッショナルとしての自覚を示すことができます。
特に若手(20代)の方で、心に響く志望動機をどのように作成すれば良いか深く知りたい場合は、「20代のあなたへ。経理転職を成功させる!心に響く志望動機の書き方」もご覧ください。
経理転職を成功に導く履歴書作成の「落とし穴」と対処法

どんなに内容が優れていても、形式的なミスや配慮不足は、経理職としてのあなたの信頼性を一瞬で失墜させます。ここでは、私の採用経験からも指摘できる、多くの人が見落としがちな落とし穴とその対処法を解説します。
失敗事例に学ぶ!採用担当者の信頼を失うNG表現
最も避けるべきNG行為は、「誤字脱字」と「誇張表現」です。経理職の採用担当者は、履歴書に誤字や数字のミスがある時点で、「この人は業務でもミスをするのではないか」という懸念を抱きます。
作成直後だけでなく、時間を置いてから音読するなど、複数回のチェックを徹底し、正確性を担保してください。
また、経験やスキルを事実と異なるほど誇張することも厳禁です。面接や入社後の実務で必ず露呈し、あなたの誠実性が失われます。あなたの持っている経験を正直に、かつ最大限に効果的にアピールすることが、信頼を勝ち取る唯一の方法です。
履歴書と職務経歴書の「一貫性」が評価を分ける理由
履歴書と職務経歴書は、あなたのキャリアを語る車の両輪です。この二つの書類に内容の矛盾があると、採用担当者は「情報の正確性」に疑問を抱き、あなたの経理処理能力まで疑問視されかねません。
学歴や職歴の年月日はもちろん、履歴書で簡潔に述べた経理業務の内容を、職務経歴書ではさらに具体的な実績で裏付けるなど、完璧な一貫性を持たせましょう。
なお、転職活動全体における一般的なNG行為や地雷を避けたい方は、「転職活動のNG行為30選。地雷を避けて転職成功!!。」も併せてご確認ください。履歴書の提出マナーから面接での失言まで、失敗事例を網羅しています。
まとめ:あなたの経理キャリアは、この履歴書から始まる

経理履歴書の作成は、単なる過去の記録ではありません。それは、あなたが目指す未来のキャリアを設計し、その実現に向けた決意を表明する場です。
この記事で解説した5つの秘訣と職務経歴書の戦略的作成術を実践することで、あなたのスキルは最大限にアピールされ、採用担当者に対して「この人は当社の未来に貢献してくれる」という確信を与えることができます。
特に20代の経理転職希望者の方は、転職エージェントの選び方一つで、その後のキャリアが大きく変わります。もし、エージェント選びに迷いがある場合は、私、46年経験のヤジ キタオが断言する「46年経験者が断言!20代経理が失敗しない転職エージェント選び」の記事も参考にし、最良のサポートを受けてください。
重要なのは、スキルや実績を正確に、そして情熱を持って伝えることです。あなたが経理という仕事に懸ける想い、成長への意欲こそが、経験の有無を超えてあなたのキャリアを切り開く原動力となります。
さあ、自信を持って、あなたの強みが最大限に伝わる最高の経理履歴書と職務経歴書を作成し、理想のキャリアを掴み取りましょう。
Q&A:経理履歴書に関するよくある疑問に回答

Q1. 未経験でアピールする際、簿記資格は最低でも何級が必要ですか?
A. 経理職への転職を本気で考えるなら、最低でも日商簿記2級の取得を強く推奨します。
2級は企業会計の基本的な仕組み(商業簿記・工業簿記)を理解している証明であり、未経験者にとっては「学習意欲」と「基礎知識」があることの強力なアピール材料となります。
私の育成経験から見ても、2級の知識があれば現場での指導効率が格段に上がります。3級でも熱意は伝わりますが、即戦力としてのポテンシャルを示すには2級が不可欠です。
Q2. 経理の転職では、職務経歴書と履歴書の内容はどれくらい一致させるべきですか?
A. 履歴書と職務経歴書の内容は、100%の正確な一貫性が必要です。
特に在籍期間、会社名、資格の取得年月日などの基本情報は、一言一句違わないようにしてください。
履歴書がキャリアの概要を示すのに対し、職務経歴書は具体的な業務内容と実績を詳細に記述します。両者が相互に補完し、矛盾がないことで、あなたの信頼性が極限まで高まります。
Q3. 職務経歴書で専門性の高い経験を効果的にアピールするには?
A. 職務経歴書で専門性を高めるには、以下の要素を必ず盛り込みましょう。
- 実務フロー(日次・月次・年次)に沿って業務を整理する。
- 連結会計、IPO、システム導入などのプロジェクト経験を詳細に記述する。
- Excel VBAなど、PCスキルが業務改善に繋がった具体的な事例(〇〇時間短縮など)を数字で示す。
単なる「経験」ではなく、「その経験で何を解決し、会社にどう貢献できるか」を具体的に語ることで、プロフェッショナルとしての価値が伝わります。
Q4. 志望動機で「安定しているから」や「ワークライフバランス」を理由にしても良いですか?
A. 経理職の特性から、志望動機で「安定」や「待遇面」を主軸にすることは推奨しません。
正確性と貢献意欲を求める採用担当者には、「仕事への本質的な熱意」や「企業への具体的な貢献」を語ることが重要です。
ワークライフバランスは重要ですが、それを語る前に、その企業の事業内容や経理部門の課題に焦点を当てた貢献意欲を最優先で伝えるようにしてください。




